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リハビリ室コラムrehabilitation column

第26回 日本臨床スポーツ医学会学術集会 参加記

                        横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 松田 匠生 (理学療法士)

 「第26回 日本臨床スポーツ医学会学術集会」が、11/7・8の2日間神戸国際会議場・神戸商工会議所で行われました。本学会は、スポーツ医学に関わる医師、リハビリテーションやトレーニングに関わる専門職、スポーツ関係者を対象とする学会で毎年1000名を越える参加者が集まり、講演、シンポジウム、パネルディスカッション、学術演題発表が行われています。



 今回の学会テーマは「スポーツとスポーツ医学−過去から未来へ−」とされており、スポーツ・スポーツ医学についてその原点から現在、そして未来への展望を考える機会になるようにとの思いが込められたテーマとなっていました。また、発表内容は多岐にわたり、スポーツ医学に関わる整形外科、内科、脳神経外科、小児科、産婦人科、リハビリテーション、眼科、トレーニングなど幅広い知識を得ることの出来る貴重な会となりました。

 特に印象に残ったシンポジウムについて紹介します。「ジュニア期におけるスポーツ外傷・障害予防の取り組み」という題で、サッカー、バスケットボール、ラグビー、柔道の各競技のジュニア期に好発する傷害の予防について、各スポーツに従事している先生方の講演がありました。脳振盪などの命に関わる傷害や、前十字靭帯損傷などの重篤な傷害について、今までの傷害発生率や傷害発生に関わる原因の調査、傷害を予防するためのプログラムの作成・実践、その予防効果まで具体的な話を聞くことが出来ました。ディスカッションでは、今後の予防プログラムの改良やそのプログラムを一般に普及させる方法についても触れられ、まさに今回のテーマである −過去から未来へ− のスポーツ医学の変遷を感じる事のできる内容でした。

 当センターのリハビリテーション科からは、シンポジウムで鈴川仁人が、一般演題で坂田淳、松田匠生が発表を行いましたので簡単にご紹介します。

◆鈴川仁人「下肢overuse障害のメカニズム・エビデンス」

 膝蓋腱炎、シンスプリント、アキレス腱炎のメカニズムと科学的根拠を過去の論文からまとめて発表しました。膝蓋腱炎の好発する部位へ負荷は膝蓋骨の後傾(後へ傾くこと)や、足関節の柔軟性低下によって増大し、シンスプリントはヒラメ筋(ふくらはぎの筋肉の一種)の張力によって、また距骨下関節(踵付近の関節)のズレによって生じやすい、アキレス腱炎は腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎの筋肉)のアンバランス、後足部の向きが影響するという内容でした。

◆坂田淳「肘内側上顆下端障害の骨癒合に対するLIPUSの中期効果」

 学童期の内側型野球肘の選手に対して当センターのリハビリテーションでも実施している、LIPUS(低出力超音波パルス療法)の効果について発表しました。LIPUSの治療を行うと97.5%の選手で骨癒合が見られるという結果でした。この結果はギプス固定をして治療した選手の癒合率と同等以上の数値であり、ギプス固定をしなくても高い癒合率を得られるというLIPUSの意義を示す結果となりました。

◆松田匠生「超音波を用いた第5中足骨疲労骨折早期発見への可能性」

 サッカー選手に好発する第5中足骨疲労骨折(足の小指の疲労骨折)の初期病変像が、超音波検査によって確認できるという可能性を報告しました。完全骨折では手術療法の適応となる骨折を、早期発見・早期治療するための超音波検査の有用性を示す内容となりました。



        鈴川理学療法士(中央)                  坂田理学療法士                松田理学療法士

 また、坂田淳の執筆した原著論文「少年野球選手における投球側肘外反弛緩性と内側上顆の形状との関連」が、平成26年度日本臨床スポーツ医学会学会賞という名誉ある賞を受賞しました。


            受賞する坂田理学療法士(中央)

 今回の日本臨床スポーツ医学会では非常に多くの刺激を受けました。今後も日本のスポーツ・スポーツ医学に関わる身として、積極的に最新の知見を得て、自らも発信していきたいと考えています。