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リハビリ室コラムrehabilitation column

第43回 日本整形外科スポーツ医学会学術集会 参加記

                        横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 中田 周兵(理学療法士)

 9月8・9日の2日間,宮崎県のシーガイアコンベンションセンターで『第43回日本整形外科スポーツ医学会学術集会』が開催されました.今回の学術集会は,これから日本で開催される大きなスポーツイベントに対して,スポーツ医科学の分野からサポートできるようにということで『スポーツ医学イノベーション 継承と革新 -RWC2019, Tokyo2020』がテーマでした.


  
  

この学会は,スポーツ医学を専門としている医師やメディカルスタッフが、スポーツ外傷・障害の予防・治療法などに関する最新の話題を討論する場です.ただし,スポーツ医科学の対象は、トップアスリートに限らず,子どもから高齢者、障害者・健常者まで多岐にわたります.したがって発表内容についても,競技力向上やスポーツ外傷予防のみならず,学校における運動器検診や少年野球検診、高齢者のロコモ検診,障害者アスリートのサポートなど多様なテーマが含まれていました.

 横浜市スポーツ医科学センターの理学療法士も、クリニック内でのスポーツ選手やスポーツ愛好家の診療はもちろんのこと,横浜マリノスや横浜ビー・コルセアーズなどのプロスポーツチーム帯同,ゴールボールを中心としたパラアスリート支援,一般の中高年の方を対象としたMEC(メディカルエクササイズコース)事業,横浜商業高校でのトレーナー活動や少年野球クリニックなど,スポーツ医科学の知識を十分に発揮した活動を幅広く行なっています.これらの活動を通して得られた知見を踏まえて,坂田淳・中田周兵の2名の理学療法士と整形外科の清水邦明医師が学会発表を行ないましたので,簡単にご紹介いたします

●坂田 淳「学童野球選手における投球パフォーマンスと肘内側障害の関連」
小学生野球選手において,肘内側障害(上腕骨内側上顆裂離骨折)の発生と球速との関連を検討しました.結果としては,高学年でかつ肘に負担がかかるフォームで投げていることが肘内側障害発生リスクを高める要因であり,球速と障害発生との関連は認められなかったと報告しました.

●中田 周兵「膝前十字靭帯不全膝の膝関節回旋運動方向と下肢キネマティクスの関連 ~
若年スポーツ選手の片脚スクワット動作における検討~」
膝前十字靭帯を損傷した若年スポーツ選手の片脚スクワット動作を三次元動作解析装置を用いて計測しました.結果としては,膝前十字靭帯損傷者は膝の運動パターンに正常とは異なるバリエーションが存在し,それには股関節の異常運動が関連している可能性が示されました.

●清水 邦明「両側膝前十字靭帯同時再建例の検討」
両側の膝前十字靭帯を損傷した患者に対して,両側同時に靭帯再建手術を施行した場合の術後経過などを検討しました.結果としては,スポーツ復帰時期の遅れなど明らかなマイナス要素がなく,むしろ片側ずつ2回に分けて手術を施行した場合に比べて入院期間や治療費など患者の負担が小さいことを報告しました.

今回の学会のテーマにもありますように,これから日本では東京オリンピック・パラリンピック,ラグビーW杯と大きなスポーツイベントが開催されます.海外の選手を多く受け入れるホスト国としては,十分な医療体制の確立が重要となります.本学会は,そのビッグイベントに向けて日本のスポーツ医科学を引っ張っていく存在ですので,ぜひ来年も参加・発表しこの流れに乗り遅れないようにしたいと思います.