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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

第45回 日本整形外科スポーツ医学会学術集会 参加記 横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 藤堂 愛(理学療法士)(令和元年8月30日)

第45回日本整形外科スポーツ医学会学術集会が8月30~31日の2日間、大阪市コングレコンベンションセンターにて開催されました。今学会のテーマは「原点からの飛躍と多様性への対応」でした。

スポーツ整形外科の対象となる選手は、スポーツの種類・ポジション・競技レベルも異なります。その多様性がスポーツ整形外科学の難しさであり、個々に対応していくことが予防や治療を成功に導くためのポイントになるという意味が込められたものでした。もちろん、理学療法においても同様のことが言えると思います。外傷・傷害における基本的な身体機能の改善を行うだけではなく、各種目に応じたアスレチックリハビリテーションにも取り組み、受傷前よりもさらに高いパフォーマンスを獲得して復帰することが求められると思いますし、それが予防に繋がると考え、日々治療を行っています。

9月からはアジア初開催となるラグビーワールドカップが開催し、来年には東京オリンピック・パラリンピックを控え、臨床のみならず、スポーツ現場においてどのようにスポーツ医学が貢献するかということや、それら大会におけるメディカル対応をテーマにした発表が多かったように思います。その中で、特に印象深かった特別企画について2つご紹介します。

1つは、「ラグビーワールドカップ2019 勝利の方程式~選手、トレーナー、ドクターの立場から~」というテーマです。現役ラグビー選手や日本代表トレーナーらが、日本代表は世界において弱者であるとされていた中で、世界一と言われる程の練習量をこなし、世界トップレベルのフィジカル、フィットネスを身につけ、南アフリカに勝利するという輝かしい結果を残したと話しました。そして、過酷なハードワークにおいて怪我で離脱する選手がいなかったのは、メディカルチームのサポートがあったからであり、選手とメディカルチームとの連携が良いパフォーマンスを産むということを再認識する必要があると述べていました。

もう1つは、「国際総合スポーツ大会におけるメディカル対策~東京オリンピック・パラリンピックに向けて~」というテーマです。大会期間中及び準備期間中、選手村には選手及びスタッフが利用できる総合診療所(ポリクリニック)が設置されます。ポリクリニックは日本の診療技術を示す良い機会でもあり、特に整形外科と理学療法部門との良好な連携については、本大会のレガシーとなり得るかもしれないと期待されています。他にも、感染症や熱中症、女性アスリートのコンディショニング対策にも万全な準備が必要であると述べていました。

これらの講演からは、競技力向上の過程で選手を中心に様々な分野のスペシャリストがチームに関わりをもつようになった中で、連携は必要不可欠であるということ、またその強固さが日本の強みであるのだと感じました。

本学会への参加は、自国開催という特別な大会で、日本のスポーツにどのように関わっていくかを改めて考える機会となりました。今回学んだことを日々の診療へも還元できるよう努めていきたいと思います。