横浜市スポーツ医科学センター

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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

投球障害肩のリハビリテーション リハビリテーション科 木村 佑(理学療法士)

 投球動作の反復により肩に痛みが生じるスポーツ障害を投球障害肩といいます。ひとまとめに投球障害といっても、損傷される部位は筋や関節唇、腱など様々であり、痛みが生じるタイミングや痛みの感じ方も病態によって異なります。

 投球障害肩の痛みは、投球時の痛みに始まり悪化すると日常生活でも痛みが生じるようになります。投球フォームの不良に原因があることが多いため、休養のみでは完治しない事が多いです。本来であれば、一定期間の休養と投球動作の見直しを含めた治療が必要になりますが、痛みに応じて自己判断で投球量を調整しながら練習を継続してしまう選手も少なくありません。根本的な原因を解決しないまま練習を続け、痛みの緩解と再発を繰り返すことで症状は悪化し、完治までの時間も長期化してしまいます。投球時に肩の痛みを感じた場合には、損傷部位の特定や原因となる投球フォーム異常を見極めるために早急に医療機関を受診しましょう。

投球障害肩のリハビリテーションは、(1)投球の休止、(2)痛みの原因となっている肩関節の治療(肩関節のリハビリテーション)、(3)投球フォーム不良の原因の改善(全身のリハビリテーション)、(4)投球フォームの改善の順で進行していきます。

(1)投球の休止

 投球時の痛みや炎症などがある場合には投球を禁止し、損傷した部位の治癒に努めます。適切な休養や肩関節のリハビリテーションを行うことで痛みは軽減しますが、痛みの消失=全力投球開始ではありません。ケガの原因となった投球動作を改善しつつ、改善した動作が崩れない範囲での壁投げや短い距離でのキャッチボールなどから開始し、段階的に距離や速度を上げていきます。

(2)肩関節のリハビリテーション

 投球の繰り返しにより肩後方の組織が硬くなると肩甲骨の位置に対する上腕骨(腕)の位置の不良が生じ痛みの原因となります。また、肩甲骨の位置の異常から肩甲骨の安定性が悪くなることも投球動作不良の原因となるため、肩後方のストレッチや肩甲骨周りのマッサージやトレーニングが必要です。肩の運動は、肩の運動を担うアウターマッスル、肩の安定性を担うインナーマッスルなど多くの筋が関与しているため、様々なトレーニングを組み合わせながら行います。

(3)全身のリハビリテーション

 投球障害肩の原因は肩のみではありません。投球動作は下肢から体幹、体幹から上肢へと力の伝達が行われる全身運動です。そのため、股関節や体幹の可動性不足からフォームが崩れる、あるいは、片脚バランスが悪いことなどから投球フォームが崩れ結果的に肩へのストレスが増大することがよくあります。選手の投球動作を観察し、フォーム不良の原因を突き止めた上でリハビリテーションを進めていくことが重要です。

(4)投球フォーム改善

 肘が下がる、体の開きが早い、手投げなどケガの原因となる投球動作は数多くあります。患部が治癒し、機能が改善していてもフォームがそのままではすぐに再発してしまいます。投球フォームの改善は、デジタルカメラ映像などを用いて視覚的に自分のフォームを確認することから始めます。自らの不良動作を確認した後に正しい投球動作を獲得するためのリハビリを行い、さらに、シャドウや近距離でのキャッチボール等で正しいフォームを固めた後に競技へと復帰するようにします