横浜市スポーツ医科学センター

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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

第50回 日本理学療法学術大会 参加記 横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 窪田 智史 (理学療法士)

6月5日(金)~7日(日)の3日間にわたって、東京国際フォーラムにて『第50回日本理学療法学術大会』が開催されました。

 本学会は、我々理学療法士が中心の学会のなかで最も大規模なものです。節目を迎えた今回は、「理学療法50年のあゆみと展望 -新たなる可能性への挑戦」をメインテーマに、2,000題を超える演題や講演、シンポジウム、国際講演、市民公開講座が企画されていました。当センターのリハビリテーション科からは私を含め6名のスタッフが参加し、関心の高い分野の講演やシンポジウムを中心に聴講していました。なかでも、印象深かったシンポジウムについて簡単にご紹介いたします。

 1つ目は日本整形外科学会との合同シンポジウム「超高齢社会における健康長寿の実現と運動器対策」です。ここではロコモティブシンドロームを例に、超高齢社会の我が国において医師や理学療法士がなすべきことが討議されていました。そもそも、ロコモティブシンドロームとは「運動器(骨や軟骨、関節、靱帯、骨格筋、腱など、身体を支え、動かす役割を果たす器官の総称)の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態になることを意味し、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。我々が健康を維持するためには、定期的なスポーツ活動が大切です。しかし、スポーツ活動のために必要な運動器自体に障害があれば、結果としてスポーツができないため、健康は損なわれてしまいます。実際に、運動器疾患は変形性関節症と骨粗鬆症に限っても推計患者数が4,700万人を下らないとされていますので、国民のおよそ3人に1人が健康を維持しづらい状態になっていると言っても過言ではないのです。このような疫学データを踏まえ、日本整形外科学会ではロコモティブシンドロームを国民病ととらえ、「国民運動」としてスクリーニング(ロコチェック)と運動プログラム(ロコトレ)を通じた予防の普及を進めています。日本整形外科学会の戦略的事業展開は学ぶことが多く、理学療法士が予防事業に乗り出す際に非常に参考になると感じました。また、国の課題である「運動器の健康維持」においては、当センターのMECのような事業が貢献できるのではないかと思いました。

 2つ目はシンポジウム「スポーツと理学療法 -これまでのあゆみとあらたなる可能性への挑戦-」および「運動器理学療法のパラダイムシフト -新たなる可能性への挑戦-」です。この2つのシンポジウムでは、我々の専門分野であるスポーツおよび運動器理学療法を築いてこられた先生方のお話を拝聴できました。普段、文献等を読むなかで各先生の考えに触れることはありましたが、目の前で発せられる臨床のアイディアや研究結果を臨床に活かすための提言には、満足を超えて感動を覚えました。特に、「選手と一緒に歩んで初めて分かることがある。そして、そこに本質がある」とのお言葉には、深く考えさえせられるものがありました。先達や選手、患者様に学び、真摯な態度で診療や研究に励むことを後押ししていただいたように感じました。

 当センターでは今後、新たな研究プロジェクトが立ち上がります。今回の学会参加を通して学んだことを活かし、日頃、選手や患者の皆様に還元できるような取り組みにしていきたいと思っています。