横浜市スポーツ医科学センター

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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

第42回 日本肩関節学会・第12回 肩の運動機能研究会 参加記 横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 中村 絵美 (理学療法士)

 「第42回日本肩関節学会」が10月9日~10日の2日間、仙台国際センターにて開催されました。同時に「第12回肩の運動機能研究会」も、同会場にて開催されました。

 本学会では、「肩関節」という限られた分野での研究発表のため、口演2会場、シンポジウムや特別講演などは1会場のみで行われ、多くの参加者が一つの演題を共有でき、活発なディスカッションが行われていました。医師が主体である肩関節学会では「肩の病態解明を目指して」がテーマとして掲げられ、コメディカル主体である肩の運動機能研究会では、それにならって、病態とそれに関連する「肩の運動機能」に焦点があてられ、数多くの研究報告がなされていました。また、学会と研究会の相互を行き来することが出来、コメディカルの発表にも多くの医師が参加している様子がみられ、医師や理学療法士がより連携し情報共有をしていかなければならないと感じました。

 肩の運動機能研究会では,さまざまな肩疾患に対する機能障害に対しての研究報告や臨床での症例報告が発表されていました。中でも野球などのスポーツでみられる投球障害肩は機能的な改善により、その多くが改善できることがわかってきていますが、まだ不明な点も多く、その原因が模索されています。

 今回、当センターからは理学療法士の坂田淳が、同研究会にて投球障害肩の発生に関わる因子について口述発表を行いましたので、その様子をご紹介いたします。

 発表では、当センター事業で行っている少年野球メディカルチェックにおいて1年間選手を追跡調査した結果、投球障害肩を発症した選手の特徴を解析し、傷害発生の危険因子を検討するという内容を発表しました。学童少年野球連盟に所属する選手496名のうち、1年間に投球障害肩の発生は10%にみられていました。選手の野球環境や身体機能の特徴から、投球障害肩の発生には練習時間に加え、姿勢の悪さ(胸椎後弯角)が影響していることが示されました。発表後は多くの質問を頂き、短い時間の中でも活発な議論ができた発表となりました。

 投球障害肩をテーマにした研究報告は本学会でも多数みられ、その機能障害については少しずつ明らかとなってきています。しかしながら、その障害発生について病態の違いによる検討結果については明らかではない部分もあり、特に学童の選手についての研究報告は数多くありません。現在、各地で少年野球選手に対するメディカルチェックが実施されるようになり、学童期からの障害予防について多くの関心がもたれていることから、今後も研究が必要だといえます。今後は、当センターにおいても姿勢の改善を含めた投球障害予防プログラムを作成し、予防介入を実践し、少しでもケガの発生を減らしていけるよう日々取り組んでいきたいと強く感じています。

 今回は紅葉の始まる東北・仙台での開催で、朝晩は少し冷え込みましたが、学会場では熱い議論がなされ、とても充実した学会でした。来年は是非、発表者として参加したいと思います。