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リハビリ室コラム / Rehabilitation Column

「第31回日本臨床スポーツ医学会学術集会 学会記」
横浜市スポーツ医科学センター リハビリテーション科 堤省吾(理学療法士)

第31回日本臨床スポーツ医学会学術集会が11/4~11/30の間、オンラインにて開催されました。今学会のテーマは「スポーツメディスン・イノベーション -継承と革新-」でした。昨年開催されたラグビーワールドカップにおける日本代表の快進撃は、日本中を感動の渦に巻き込みました。また、延期となっていますが東京2020オリンピック・パラリンピックでより一層感動でき、スポーツ医・科学の分野からサポートできるようにといった意味が込められたものでした。

今年は,未曾有の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,これまでの日常が一変し,一堂に会すること自体が困難となりました。本学術集会におきましてもオンライン開催となり,会場にて活気ある議論を取り交わすことができませんでしたが,オンラインならではの特色も感じられました。

今年は例年と比べ、以下2点の特徴が強い印象を受けました。1つ目はやはりコロナ禍におけるスポーツ医・科学の立ち位置、役割に関する点です。教育講演だけでなく一般演題でもコロナウイルスに関連した発表がみられ,今後さらに注目が集まるトピックだと感じました。2つ目は来年に控えた東京オリンピック・パラリンピックに関する点です。大会成功のためにどのようにスポーツ医・科学が貢献するかということや、それら大会でメディカルスタッフとして求められる役割をテーマにした発表が多かったように思います。これらに関するもので特に印象深かった講演を2つご紹介します。

1つは、「新型コロナ時代におけるスポーツ関連の感染対策」というテーマです。感染症を防ぐうえで重要なことは、無症状で感染力がある方がいるということを理解し、リスクを可能な限り回避した行動をすることであると強調されていました。またスポーツ医・科学に携わる者として、感染症と予防に関する知識を正しく持ち、周囲へ啓発していくことの重要性も改めて感じました。

もう1つは、「大規模スポーツ大会の医療安全体制~東京オリンピック・パラリンピックに向けて~」というテーマです。来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックですが,想定参加選手数は延期前と変更がなく、選手村でのポリクリニック(総合診療所)を始め、各競技会場での医・科学スタッフの活躍が期待されています。たとえコロナ禍といった逆境であっても,それぞれが必要とされる場所で,求められるサービスを提供することが、将来のスポーツ医・科学分野におけるレガシーに繋がることを感じました。

本学会への参加は、理学療法士としてアスリートとどのように関わるべきか、関われる可能性があるのかを改めて考える機会となりました。今回学んだことを日々の診療に還元できるよう努めていきたいと思います。